「高洲・九条の会」便り NO.302008.9




発行:「高洲・九条の会」事務局:千葉市美浜区高洲3-15-6-704遠山宅(TEL:270-0722
(文責:TAM 


■九月例会のご案内
「私の戦争体験」
語り部:今井 修氏(美浜区在住)
幼少時の記憶を紐解いて語る、戦争の実際。
イラクやアフガニスタンに自衛隊を派兵して、アメリカの戦争に参加しますか?
戦争で平和が築けますか?
聞いて下さい「"戦争"って何でしょう」
・9月27日(土)午後2時〜4時半 
・高洲コミュニティーセンターにて
・参加費:100円 (終了後懇親会を予定)

−当面の行動計画−
<ご参加下さい。>

9月例会(9/27)14時〜16時半(上記参照)
  (毎月第4土曜日開催)
●10月9日(木) 14時〜15時「9の日行動」
 稲毛海岸駅前宣伝行動(雨天中止) 
●10月9日(木) 15時半〜17時 事務局会議(高洲CC)例会に参加できない方は、意見交換のために、この日にお出でください。
 (毎月第2木曜日開催)
10例会10/2514時〜16時半(予定

10月18日(土)夜7時〜9時「第2回美浜区平和と文化のつどい」(美浜文化ホール
・朗読と講演の夕べ 10月18日(土) 6時半開場・7時開演
 朗読「ここが家だ ― ベン・シャーンの第五福竜丸」
 講演「ラムネの飲み方」
  −21世紀の日本とアメリカの関係を見つめて−
  アーサー・ビナード(詩人)
 主催 美浜区平和と文化のつどい連絡会
 (美浜九条連絡会等で構成)
 後援 千葉市教育委員会・朝日新聞千葉支局
 入場料:大人1000円・中高生500円
  (注)券の取り扱いは前売りのみです。事務局にお問い合わせ下さい。

アメリカ生まれの日本語詩人によるユーモアと風刺に富んだ語りです。日本の平和や憲法について、ビナードさんの語りを聴きながら考えませんか

        ◇   ◇   ◇
『超一流の憲法に合う政治家がいますか?試されたことさえないまま、新品同様の憲法?』
 漢字は音といっしょに意味も持つ。形が意味を抱え、音もはらみ、部品を組み合わせただけではなく、それらを超えた一つの生物のようだ。」詩人ビナードさんの漢字への見方です。友人がたまたまつけたラジオでビナードさんのトークを聞いたそうです。「"米"という字は八十八を現す文字。米ができるまでにそれだけたくさんの手間をかけてようやく収穫にいたる。其れを"コメ"と言ってしまったら、"米"でなくなってしまう」と。ビナードさんは日本人より日本語を知っていると言われるのは、こんな間隔を持ち合わせておられるからでしょうか。
外国語を自分のものにするために、何が大切か。というインタビューに対し、「耳から入ってきた言葉が頭の中でこだまして、それがどういう意味なのか分からなくても、何度も繰り返される。赤ちゃんが言葉を覚えるときも、最初はこの『こだま』から出発するんじゃないかと思うんです。頭の中で、音と意味がもみ合い、ゴシゴシこすり合って、合体したりして、その『言語風呂』をどれだけ濃く、豊かなものにできるか、そこが大事ですね。風呂の『効能』を生かすためには、五感をフルに使わないと。どっぷりと『入浴』しなければ、かさかさの翻訳調になってしまうんです。」ビナードさんのこの独特な表現が面白い。10月18日(土)の講演会が楽しみです。(真砂「九条のひろば」より 小宮るみ子さん)
       ◇   ◇   ◇
アーサー・ビナード 1967年米国ミシガン州生れ。2001年に日本語で書いた最初の詩集『釣り上げては』(思潮社)は中原中也賞受賞しました。
現在、各地の「九条の会」で、日本国憲法は「古いどころか新品同然」と熱く語り続けています。「九条の会」呼びかけ人の加藤周一さんとの対談「いま、憲法をどう語るか」が、雑誌『世界』6月号に掲載されました。

ベン・シャーンと第五福竜丸
 1954年3月1日、アメリカはマーシャル諸島のビキニ環礁で水爆実験をしました。ヒロシマの原爆の1千倍の威力でした。キノコ雲は35キロの上空に達し、大量の放射能が風と潮流に乗って太平洋を汚染し、マーシャル諸島の住民は被爆し、ビキニ環礁近くで操業していた日本の漁船「第五福竜丸」の船員たちが死の灰を浴び、無線長だった久保山愛吉さんや他の方々が亡くなりました。
 それから3年後、20世紀のアメリカを代表する画家ベン・シャーンは久保山さんを主人公にした悲劇の連作「ラッキー・ドラゴン・シリーズ」を製作して、社会に訴えました。そして、それから更に50年後、アーサー・ビナードさんがこの絵に詩をつけ、反原水爆の絵本『ここが家だ―ベン・シャ−ンの第五福竜丸』(集英社)を作りました。この本は2007年の第12回日本絵本賞を受賞しました。
「第五福竜丸」は現在、新木場・夢の島の「第五福竜丸展示館」に、永久展示されています。

−活動報告−
8月のとりくみ
 8月9日の恒例の「9の日行動」には、高浜の会の協力も得て、6人で稲毛海岸駅頭でチラシ配付とマイクでの宣伝を行いました。
「会」に反対する人の嫌がらせもあり多少緊張しましたが、1時間で260枚のチラシを配りました。後日このチラシ2,200枚を高洲地域の各戸に配布しました。
 27日の月例会は7人の方が参加しました。政治状況や会の取り組みについて意見交換しました。
―他の会の催し―
・9月28日(日)14時〜16時半 憲法講演会「イラク派兵違憲判決と自衛隊海外派兵恒久法」(みつわ台公民館、無料)[若葉の会]
・10月11日(土)14時〜16時半 「まもろう平和!市民のつどい」歌:立川かずさ、講演:品川正治(経済同友会終身幹事)(習志野市民会館ホール) 参加費500円・高校生以下無料 [主催:習志野市9条の会連絡会]

「九条の会」第3回全国交流集会開催!
「九条の会」運動の新たな挑戦のあり方を、全国の経験を持ちよって、共に模索するために、第3回全国交流集会が開催されます。
 ○2008年11月24日(月・休日)
 ○日本教育会館(東京九段下)
 なお、実施要綱は別途発表される予定ですので、改めてご案内いたします。参加希望者は所属の「九条の会」を通じて申しみますので、希望の方は、事務局までご連絡下さい。

「事務局より」
 ナントまたまた首相が政治を投げ出しました。自分たちがその閣僚でありながら、失政のお詫びや反省すら口に出せない総裁候補者たち。アーサー・ビナードさんの指摘が胸に突き刺さります。
■解散総選挙が早々ありそうです。やっと私たちの考え(民意)を示すことができます。"改憲NO"を示しましょう。
■意見投稿をお待ちします。(TAM)

投稿「戦争を振り返る」
           安岡 襄
(3)「ミッドウエイ海戦」
 1942年6月5日に開始されたミッドウエイ海戦は、太平洋という広大な地域での戦闘では、制海権と制空権をどちらが支配するかが、すべての戦いの勝敗を決することとなった戦闘であった。
 日本海軍は伝統的に大艦巨砲主義をとって「大和」に代表されるような大型戦艦を造ってきた。しかし、初戦のマレー沖海戦で英国の「プリンス・オブ・ウエールズ」と「レパルス」を日本の航空隊が撃沈したことから、大艦巨砲主義は時代遅れとなり、海上戦を制するのは航空母艦を基艦として航空戦によることになった。 
日本海軍のミッドウエイの作戦方針はミッドウエイ方面とアリューシャン群島とに二分するが、両者は一体の作戦とし、ミッドウエイ攻略は、同島の航空基地を全滅させると同時に米機動部隊を誘い出し撃滅することを目的としていた。
 一方、日本海軍の暗号を解読し計画を知った米軍は、大型空母3隻を日本潜水艦が哨戒線につく前に配置していた。珊瑚海海戦で損傷した「ヨークタウン」も、3日間の突貫工事で応急修理と飛行隊の補充を終えて配備された。また、ミッドウエイ島の防備も強化され、同基地の航空部隊は約120機であった。
  海戦の結果は基地を攻撃するには爆弾、船舶を攻撃するには魚雷攻撃が適している。しかし、日本軍は攻撃に際し米航空母艦群の発見に手間取り、また、護衛戦闘機無しに爆撃機のみで攻撃できるかなど、攻撃方法の決定の時機を失した。その結果、「赤城」、「加賀」、「飛龍」、「蒼龍」の航空母艦4隻と搭載機のすべてを失い、米軍の損害は航空母艦では「ヨークタウン」だけであった。
 日本軍の搭乗員は救助されたが、飛行機自体は全機=約300機が失われた。この海戦の結果、日本の制空権・制海権は基本的に失われ、太平洋における戦いは敗北の一途をたどることになった。なお、米国領アリューシャン列島のアッツ、キスカ両島は、日本軍によってほぼ無血占領で行われた。


学習版
 5月3日の憲法記念日の「千葉県憲法集会」で講演された、広島市立大学広島平和研究所所長の浅井基文さんの講演レジュメの第3回です。

「アメリカの世界戦略と日本国憲法」(3)
― 目 次 ―
1.国際平和を考える場合の基本的視点と憲法第9条の先駆性
2.自民党と民主党の憲法「改正」に関する立場−批判的検討−
3.私たちの憲法論の足腰強化


1.国際平和を考える場合の基本的視点と憲法第9条の先駆性
(ロ)アジアにおけるアメリカの軍事戦略:「中国脅威論」と「北朝鮮脅威論」
−中国脅威論
 @アメリカの根深い対中警戒感
 ・「中国の軍現代化は、台湾有事シナリオに対する軍事的な選択肢の幅を広げるという中国指導部の要求に応じて、1990年代中頃以後加速している。中国の軍事力増強は、既に地域の軍事バランスを危うくしている。」(QDR)
 Aアメリカが描く戦争シナリオ:台湾問題と米中戦争
 B「中国は脅威」という主張の説得力を再考する必要性
 ・アメリカは、中国の対日攻撃で始まる戦争の可能性を考えてもいない。
 ・対米軍事協力を国民に納得させるための「中国脅威」論という虚構性
 C問題の急所:日本がアメリカの対中戦争に協力しさえしなければ、アメリカは対中戦争を始めることはできず、従って日本が中国から攻撃を心配する必要はありえないということ:誰のための国民保護計画化?
−北朝鮮脅威論
 @ブッシュ政権に根強かった「レジーム・チェンジ(体制交代)」という発想
 A戦争シナリオ:「アメリカは、可能なときはいつでも平和的協力的方法を用いるが、必要であれば軍事力を行使する。このため、国家(「北朝鮮」と読み替えよ。)・・・の大量破壊兵器の能力や計画について、その所在を突き止め、・・・破壊する大量破壊兵器絶滅作戦が重要となる。」(QDR)
 B北朝鮮の核武装をどう見るか
 ・北朝鮮が核開発を強行する理由:アメリカの恫喝政策に対する唯一の生き残りのための手段。
 ・北朝鮮を非核化に向かわせるための唯一の道:アメリカの対北朝鮮政策を改めさせること(6者協議の重要性)
 C「北朝鮮は脅威」という主張の説得力を再考する必要性
 ・アメリカは、北朝鮮の攻撃で始まる戦争の可能性はまったく考えていない。
 ・再び対米軍事協力を国民に納得させるための「北朝鮮脅威」論という幻。
 D問題の急所:日本がアメリカの対北朝鮮戦争に協力さえしなければ、アメリカはやはり戦争を始めることを思いとどまらざるを得ず、従って日本が北朝鮮からのゲリラ攻撃を心配する必要もなくなるということ。(ここでも問うべきは、誰のための国民保護計画か、ということ) 

(ハ)警戒すべき次期政権における世界(対東ア ジア)戦略:アーミテージ報告(第2)
−基本的特徴
 @ブッシュ政権の対テロ戦略を実質的に否定
 Aアメリカの伝統的な権力政治への回帰
 Bアーミテージ報告(第1)で示された対日政策は不変
−脅威認識
 @中国の戦力増強の意図が台湾問題対処を主眼としているという認識:日本国内の「中国脅威論」との懸隔
 A北朝鮮の非核化への懐疑的な見方(日米共同  対処の必要性の強調)
−日本の保守政治の危険性に対する無批判的包
 容 
 @日米同盟がアメリカの対アジア戦略の中核であるという認識の確認
 A過去5年間の実績を肯定しながら、「日米安全保障関係を進展させるためにもっと多くのことができる」とし、「日本は日米同盟をより対等なものにしなければならない」という表現で、間接的に改憲を促している。  

(ニ)国連:アメリカの軍事戦略の「目くらまし」的役割
 −米ソ冷戦終結で息を吹き返させられた国連の軍事機能@米ソ冷戦時代に「力によらない平和」観  の実践をよぎなくされていた国連:日本  国憲 法の方向性との一致(「国連中心主   義」を護憲派が唱え得た根拠)A冷戦終結で「息を吹き返した」国連憲章 第7章とアメリカによる国連の軍事的利    用(「国連中心主義」を対米追随派が唱え  始めて根拠)
 −憲法改正を主張する側の論点:「正義の味方」「国際世論の代表」である国連が武力行使する(容認する)場合には、それに参加すること(いわゆる軍事的国際貢献)はやむを得ない(当然である)から、その要求を満たせなくなっている憲法は改正するべきだ。
 −第9条は徹底して「力(武力)によらない」 平和を目指す点で、「力(武力)による」平和を実現する立場にも立つ国連憲章とは、根本的に性格を異にする。@平和憲法と国連憲章の平和実現に関する 考え方の基本的な違いは、第2次世界大 戦で加害者であった日本と被害者であっ た国際社会との立場の違いに由来する。A「国連安保理が決めたことは正しく、そ れには従う必要があるのではないか」と いう受け止め方は全くの誤解:安保理決 議が決定した措置でも、軍事的措置につ いては、加盟国が自分でどうするかを決 めることを国連憲章自体が定めているか ら、日本は自分の行動を自ら決めること が出来る。
第43条は、第1項で「すべての国際連合加盟国は、安全保障理事会の要請に基づき且つ一又は二以上の特別協定に従って、国際の平和及び安全の維持に必要な兵力、援助及び便益を安全保障理事会に利用させることを約束する」と定めるが、第3項では「前記の協定は、…安全保障理事会と加盟国との間…に締結され、且つ、署名国によって各自の憲法上の手続きに従って批准されなければならない」と規定しており、各国は各自の憲法上の手続きに従って批准されなければならない」と規定しており、各国は自国の憲法に従って行動することが認められる。
−国連による・国連が容認した武力行使が常に正しいとは限らない、という重大な原則的な問題(安保理決議は、往々にして大国の都合によって決められることが多いことに、その根本的な原因がある。)
 @原則として踏まえておくべきことは、国連による・国連の容認した武力行使が紛争の解決に役立ったケースは極めて限られていること。
 A多くの国際問題は、武力行使によって解決できる性格のものではない、という根本問題(むしろ非軍事の取り組みが求められているケースが圧倒的に多い。)をもっと重視するべきであり、非軍事に徹する取り組み こそ平和憲法が指し示している日本の国際社会との係わり方。
(以下次号に続く。)   
(編集注・「高洲・九条の会」便りより ホームページ用にしました)